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高血圧治療薬のミカルディスを紹介

2019年07月08日
患者を診ている医者

高血圧治療薬ミカルディスはARBとも略されるアンジオテンシンII受容体拮抗薬というグループに属しています。
RAA系と呼ばれる体内の血圧上昇システムの働きを途中で阻害することで降圧効果をもたらします。
ミカルディスの有効成分テルミサルタンはRAA系が作用する過程で、血圧を上げるアンジオテンシンIIという物質が受容体と結合するのをブロックして効果を発揮します。
そのためアンジオテンシンIIになる前段階を阻害するACE阻害薬よりも余分な作用を抑えながら血圧をしっかり下げる薬として開発されました。

ミカルディスは優れた降圧効果のほか心臓や腎臓が高血圧の影響で機能低下を起こすのを防ぐ作用ももたらします。
アンジオテンシンIIは血圧上昇にかかわるだけでなく、心臓や腎臓の筋肉を硬直させて異常を起こさせる原因となる線維化も促すことから、ミカルディスのアンジオテンシンIIの働きを阻害する効果は臓器保護にも役立ちます。
ARBグループの薬の中で血糖値改善への効能を最も有していることも特徴の一つです。

ミカルディスは長時間にわたって効果が持続することから1日1回の服用で済む点も重宝されています。
血中での薬の濃度が半分になる半減期が20~24時間と長く、朝に服用したミカルディスの薬効が深夜から翌朝にも作用を続けていることで、早朝に発症リスクが上がる脳梗塞や心筋梗塞への対策としても有効になります。
長くゆっくりと効果をあらわし、副作用も少なめのミカルディスは高血圧の長期維持療法に適した薬です。

ARBの中でも着実に処方数を増やしているミカルディスは、有効成分テルミサルタンを使ったジェネリック医薬品も多数登場しており、ミカルディスと同じ効果効能を安価に利用できるようになっています。
重篤な副作用は起こりにくいとされていますが、飲み合わせ注意の薬がいくつかあり特にほかの降圧剤や利尿剤との併用は血圧を下げ過ぎる心配があるため慎重な処方が必要です。
重い肝臓病や腎臓病の人、飲み合わせの悪い薬を服用している人も医師への相談が必要で、妊娠中や授乳中の人のミカルディス服用は不可とされています。

ミカルディスはACE阻害薬と比較して副作用が少ない

ミカルディスをはじめとするARBことアンジオテンシンII受容体拮抗薬はACE阻害薬で問題視されていた空咳の副作用を抑えた高血圧治療薬として開発されています。
気管支に不安がある高血圧症の人にも処方可能な降圧剤として重宝されています。
ミカルディスの有効成分テルミサルタンはARBグループの中でも比較的新しい第2世代に属しており同系統の降圧剤の中でもさらに副作用を抑え優れた降圧効果を誇る薬です。

ARBがACE阻害薬の副作用である空咳を抑えることが可能になった理由は、血圧上昇システムRAA系での阻害段階の違いにあります。
ACE阻害薬が阻害するのはRAA系が作用する過程でアンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する酵素のACEを阻害して降圧効果をもたらします。
ところがACEは気道を刺激して咳を起こす原因となるブラジキニンを分解する働きも持っているためACE阻害薬による阻害は、その分解まで妨げてしまうことから体内に溜まったブラジキニンの影響で空咳の頻発を招きます。

ARBのほうはACEの働きは阻害せずにACEが変化させたアンジオテンシンIIのほうを阻害することでRAA系の最終段階で実際に血圧を上げる働きをするアンジオテンシンIIをブロックして降圧します。
アンジオテンシンIのほうは血圧を上げる作用を持たないことから、ARBはACE阻害薬のようにACE酵素の働きを阻害せずに降圧する薬となっており、ブラジキニン分解も妨げないことで空咳の副作用を抑えています。

ARBが阻害するアンジオテンシンIIにはAT1とAT2という2種類の受容体が存在します。
ミカルディスが選択的に阻害するのは血管収縮やアルドステロン分泌作用によって血圧上昇をもたらすほうのAT1受容体です。
血管拡張や細胞増殖抑制などの作用を持ち血圧を下げる働きに関わるAT2受容体は阻害しないため、さらに副作用の少ないARB薬として登場したのがミカルディスです。